暮らしと生きる力に関する全国調査

「暮らしと生きる力に関する全国調査」に関する情報公開サイトです

この調査は(独)日本学術振興会科学研究費補助金制度によって助成を受け実施されています。質問紙調査は実施委託先の(株)日本リサーチセンターにより実施されました。

本調査の企画は研究者6名からなる調査企画委員会(代表:放送大学 戸ヶ里泰典)による検討のもとで進められ、現在分析作業に取り組んでいます。

このウェブサイトでは皆様に向けて、調査概要や進捗をご報告して参ります。

調査の主な内容については以下をご覧下さい。

調査の目的調査をお願いしている方についてこの調査への協力と方法について調査における個人情報保護方針研究者による個人情報保護方針調査企画委員会関連リンク

東大健康社会学版3項目SOCスケール(SOC3-UTHS)について

東大健康社会学版3項目SOCスケール(SOC3-UTHS)についてのお問い合わせが増えております。

本スケールは、アントノフスキーが作成した29項目版および13項目版のスケールとは全く別の項目内容で2007年に当時の東京大学大学院医学系研究科健康社会学教室が日本語で独自に開発したSOCスケールになります。また、英語版はありません。ご注意ください。

本スケールについても全国標準化が行われています。項目も含めて標準化に関係する情報は、「健康生成力SOCと人生・社会ー全国代表サンプル調査と分析」で紹介しておりますので参考にしてください。使用については研究・教育目的に限り自由となっています。

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784842065908

日本語版統御感尺度について

本調査で行った基礎的な検討の一つに、日本語版統御感尺度の心理尺度特性の確認作業がありました。

統御感(sense of mastery: SOM)とは、社会学者Leonard I. Pearlinによって提唱されたストレスプロセスにおいてストレッサーの緩和効果を持つ対処資源としての自己概念に関する感覚を指します。Pearlinによると統御感とは自己の信念のことで、その人の生活・人生に影響を及ぼしている状況をコントロールできるという確信であるとされています。その人の統御感を測定する統御感尺度(sense of mastery scale: SOMS)はPearlinらにより開発されて以降、ストレッサーによる影響を緩和する能力を持つ防御資源であることが繰り返し実証されてきています。また、社会的に重要とされる目標達成によって発達するとされ、社会経済的地位と大きく関連することが分かっています。

日本国内において健康に関連する自己コントロール概念は多数開発されています。たとえば一般的な状況に対するコントロール感を意味するローカスオブコントロールとは異なり、この統御感はその人の生活・人生に対して"重大な"負荷・刺激を与える、限定された状況に対するコントロール概念になっています。

開発から30年以上経過し、欧米を中心に多くの先行研究が見られていますが、本調査を計画している2013年末に開発者のPealin氏に問い合わせたところ日本語版は今のところ聞いたことがないと回答があり、項目のご提示、バックトランスレーションのチェックなど日本語訳の作成に協力いただき、開発に至りました。

本調査により日本語版について一定の信頼性と妥当性が確認できましたので、ここに尺度内容をお示しします。

日本語版統御感尺度項目と採点方法

なお、信頼性妥当性に関しては以下の論文にまとめ公表していますので、使用の際は引用をお願いします。

Taisuke Togari, Yuki Yonekura. A Japanese version of the Pearlin and Schooler’s Sense of Mastery Scale. Springer Plus 2015; 4(1):399.

www.springerplus.com

学会等による結果報告状況について

2014年11月までに以下の学会で結果報告をしてまいりました。

  • ストレス対処力SOCに関する報告

第1報 2014年7月13日第23回日本健康教育学会(札幌)

性・年齢別の分布を確認・・・性差なし、年齢が上昇するほど得点高、性・年齢の交互作用なし

第2報 2014年11月6日第74回日本公衆衛生学会(宇都宮)

都市規模別、地域別の分布を確認・・・年齢調整後も地域(全国11ブロック)・都市規模(政令市・10万人以上、10万人未満、町村)別で得点差なし、地域・都市規模の交互作用なし

第3報 2014年11月30日第34回日本看護科学学会(名古屋)

3つの下位尺度(把握可能感、処理可能感、有意味感)別の信頼性、性年齢別分布の確認・・・どの下位尺度も年齢は高くなるほど高い値、把握可能感、有意味感は性差(男性>女性)あり、交互作用なし

また、第2報の直後、第74回日本公衆衛生学会(宇都宮)の自由集会「第8回健康生成論とSOCに関する学習・交流会」にて、地域・都市規模別の詳細の分析結果を報告

  • 類似概念sense of masteryに関する尺度開発に関する報告

2014年11月1日日本健康心理学会第27回大会(沖縄)

今回の調査で翻訳したPealin&SchoolerのSense of Mastery尺度の信頼性と妥当性についての検討結果について報告・・・7項目版と5項目版とを比較。5項目版のほうが信頼性、因子妥当性ともに良好。構成概念妥当性としてSOCやメンタルヘルスとの相関を検討した結果は、両者ともに一定の相関を確認。

 

本年度の学会報告は以上です。次年度は、他に様々測定した社会的因子との関係、Masteryやヘルスリテラシーとの関係性についてみていきます。また、間もなくカナダ、スコットランドにおける調査結果が入手できますので、国際比較の分析を進めていきます。

なお、上記の分析結果についてはすでに学術雑誌掲載に向けて投稿をしております。掲載決定次第本ページにて報告いたします。

「暮らしと生きる力に関する全国調査」調査報告

一般向け調査報告書が完成しました。

内容は単純集計までになっています。一部クロス集計や、統計学的な検討も含めていますが、基本的には特に学術的な知識を持たない、協力者および市民向けの内容です。

研究的な検討の結果は順次学会、学術雑誌等で報告していきます。

 

はじめに

研究協力者の特徴(性・年齢・居住地・世帯・婚姻状態・教育歴・職業)

過去の経験(15歳ごろの両親との関係・過去1年間に起きた出来事)

人間関係(友人関係・助けてくれる人・地域とのつながり)

健康(慢性疾患のり患・メンタルヘルス・健康と情報)

生きる力(首尾一貫感覚・統御感・生きがい)

おわりに

全文(約1.5MB)

「暮らしと生きる力に関する全国調査」内容に関する研究公表予定について

「暮らしと生きる力に関する全国調査」の調査データの分析結果について、今年度以下の学会で公表する予定となっています。

1.第23回日本健康教育学会学術集会(2014年7月12~13日・札幌)

http://www.knt.co.jp/ec/2014/23nkkg/

2.第73回日本公衆衛生学会総会(2014年11月5日~7日・宇都宮)

http://www.c-linkage.co.jp/jsph73/

3.第34回日本看護科学学会学術集会(2014年11月29日~30日・名古屋)

http://www.c-linkage.co.jp/jans34/